税理士になっても…『負け組』でしょうか。
税理士資格を取れれば勝ち組だと思って頑張っていますが、将来が不安です。
こんにちは!むたです。
大学院卒業後から都内の税理士法人(現在2社目)に勤めており、転職を成功させて今ではフルリモートの税理士法人で自由に働いています。
大学1年時より簿記3級に挑戦し、大学3年時から4度の税理士試験で3科目(簿記論・財務諸表論・法人税法)に合格、院免で税理士になりました。
今回は勤務税理士の立場から、高難易度の税理士資格を取得しても、人生の勝ち組になれる保証はないというお話をしたいと思います。
人生の勝ち組、負け組の定義は人それぞれですが、今回は『年収』『働きやすさ(自由度)』『将来性』の観点から考えてみましょう。
資格を取得すれば一定の安定を得られる魅力はありますが、税理士資格は底辺からの【人生の一発逆転】程の万能武器ではないので、現実を知った上で勝ち組税理士を目指して欲しいです。
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税理士の平均年収
税理士資格を取ったら、期待したいのがやはり「高い年収」でしょう。
まずは「税理士の平均年収」から確認していきます。
開業税理士の平均年収
自分のペースで、人間関係の縛りなく、自由に仕事ができる開業税理士。
しかし、勝ち組と負け組で年収が二極化しているのが現実です。
第6回税理士実態調査報告書(2014年実施)によると、開業税理士の平均年収は744万円です。
年収 | 構成比 |
---|---|
300万円以下 | 31.4% |
301万円~1,000万円 | 42.2% |
1,000万円~ | 26.4% |
調査報告書を見ると、全体の31.4%が年収300万円以下という厳しい現実があります。
その反面、年収1,000万円以上が26.4%と、4人に1人は1,000万円プレイヤーです。
集客がうまくいけば高収入の可能性がある開業税理士ですが、軌道に乗るためには努力とセンスが必要といえるでしょう。
勤務税理士の平均年収
2022年の賃金構造基本統計調査によると、税理士及び公認会計士の年収の平均年収は701.28万円です。
税理士・公認会計士 | 平均年収(所定外給与を除く) |
---|---|
全年齢 | 701.28万円 |
20歳~24歳 | 428.68万円 |
25歳~29歳 | 495.89万円 |
30歳~34歳 | 581.63万円 |
35歳~39歳 | 671.87万円 |
40歳~44歳 | 721.37万円 |
45歳~49歳 | 770.03万円 |
50歳~54歳 | 853.52万円 |
55歳~59歳 | 1,061.47万円 |
60歳~64歳 | 576.58万円 |
65歳~69歳 | 643.32万円 |
70歳以上 | 629.43万円 |
平均年収が約700万円とありますが、これは公認会計士も含めた場合となっています。
税理士に焦点を当てると下記となります。
社員税理士
第6回税理士実態調査報告書(2014年実施)によると、社員税理士の平均年収は866万円です。
社員税理士は一般企業でいう「役員」にあたるので、そのポジションに立つのはかなりハードルが高いといえるでしょう。
税理士としてのクライアント対応というより、税理士法人の経営者としての手腕が求められます。
所属税理士
第6回税理士実態調査報告書(2014年実施)によると、所属税理士の平均年収は597万円です。
所属税理士は、一般企業でいう「サラリーマン」として会計事務所や税理士法人に勤務する税理士です。
世間の平均年収よりは安定して高い給与をもらえるかもしれませんが、高難易度の税理士資格を活用した年収と考えると決して高くはないと考えられます。
ただ、BIG4税理士法人(KPMG、PwC、EY、デロイトトーマツ)は、新卒で既に年収500万円といったこともあるので、勤務税理士で高年収を目指すならBIG4がおすすめです。
高年収の税理士法人もある一方で、底辺の会計事務所ではかなり安い給与で酷使される可能性もありますので、勤務先はしっかりと見極めることが大切です。
一般企業(経理・財務)
一般企業での税理士の年収は400万円~600万円が目安と考えられます。
税理士資格は多少の優遇になるかと考えられますが、基本的には他の従業員と同じ給与基準で決まることが多いです。
税理士資格を取っていなくても、経理の経験を積めば、所属税理士の平均年収と同じ水準です。
むしろヒュープロの担当エージェントには、「年齢を重ねたら一般経理の方が年収が高くなる傾向がある」といわれました。
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税理士の働きやすさ
それでは次に「税理士の働きやすさ(自由度)」について考えてみましょう。
繁忙期と閑散期
一般的に税理士は夏は余裕がありますが、冬になると忙しくなる繁忙期がハッキリしている業種です。
◆繁忙期:11月~5月
⇒ 年末調整・法定調書・給与支払報告書・償却資産税の申告・個人確定申告・3月決算
◆閑散期:6月~10月
2020年11月にMikatus株式会社が実施した「税理士業界における人材・採用・教育に関する実態調査」によると、通常期の平均残業時間は月30時間以内の回答が約7割となっていました。
一方、繁忙期の平均残業時間は月80時間以上という回答が約2割を占めています。
夏の間は長期休暇をとって心穏やかに過ごせますが、年の半分は繁忙期であるため、メリハリをつけた働き方が必要となります。
税理士の働きやすさ
私も転職して実感していますが、税理士業界といえど、職場によって働き方が全く異なります。
紙ベースの資料で仕事している場合にはテレワークは難しいでしょうし、専門に特化(相続・M&A他)した事務所では繁忙期はありません。
事務所の特徴、ターゲット顧客、事務所規模等によってカラーが異なるため、自分にとって働きやすい職場を見つけ出すことが重要です。
一般的な税理士(中小企業メイン)の場合は、担当制のため一人でクライアント対応することが多いです。3年も経験すれば「チームで動かず一人で仕事ができる」というのは、働き方の魅力だと思います。
税理士の将来性
最後に「税理士の将来性」について考えてみましょう。
AI・IT技術の普及と税務申告の容易化
AIやIT技術の普及により「将来的に税理士の仕事が奪われる」との話もよく聞きます。
事実、会計ソフトや税務申告ソフトの発達は目覚ましく、自力で税務申告を行える会社も増えてきています。
インターネットの普及により、税務の知識を無料で身に付けやすい環境にあるため『税務申告書類の作成』のみを請負う税理士は、先細りの未来が想定されます。
税理士の未来
とはいえ、AIや会計ソフトのツールを使うのは結局「人間」であるため、正しく活用する力があればテクノロジーは強力な味方となります。
また、税務相談はケースバイケースのため、その人の状況や希望によって適切な税務提案をするコンサルティング分野はAIに代行できない分野でしょう。
今後の将来性のある税理士とは以下のような業務ができる税理士と考えられます。
・AI・IT技術の最新ツールを活用できる税理士
・コンサルティング能力が高い税理士
・専門分野(資産税・M&A・国際税務…)を持った税理士
仕事を奪われるのは、一部の税理士です。
底辺税理士の可能性もあることを忘れない
『税理士になれたら人生勝ち組』と考えていませんか?
税理士資格は「うまく活用できるか」が勝負です。
これまで『年収』『働きやすさ(自由度)』『将来性』の観点から、税理士業界の甘くない現実を紹介させていただきました。
税理士になってどうなりたいのか決めずに、ただ税理士になると、厳しい現実が待ち受けています。
私も税理士になれれば人生安泰だと思っていましたが、それは甘い幻想でした。
勝ち組税理士になるために、現実を受け止めつつ、未来に向けて今から力をつける必要があります。
自分がどの分野の税理士なりたいかを考えつつ、もし、今の職場でその力を身に付けることが難しいのであれば、職場の変更も考えるべきでしょう。
気が付いた時には『負け組税理士』まっしぐらといったこともあり得る業界です。
「未来の自分」は「今の自分」が作り上げるもの。現状維持に満足するのではなく、未来を見据えた判断をできる人が、将来の『勝ち組税理士』です!
勝ち組税理士への布石
この記事を最後まで読んでくださった皆さんは、向上心が高く将来に備えて行動できる優秀な方々とお見受けします。
しかしながら、皆さんはご自身のキャリアプランを具体的に考えたことがありますか?
30代のキャリアはどこで積むのか、40代・50代はどこでどの立場で仕事をしていたいですか?
何も考えずに日々仕事をしているといつの間にか惰性で仕事をしてしまうのが人間です。
改めてキャリアデザインを作ることで、自分の現在地を把握し、将来目指すべき税理士像への道筋がハッキリしますよ。
居心地が良いからと『成長できない事務所』に留まっていては、永遠に勝ち組税理士には近づきません。
勝ち組税理士にのし上がるための布石を、今から戦略的に打っていきましょう。
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まとめ
今回は税理士という仕事について、『年収』『働きやすさ(自由度)』『将来性』の観点から考えてみました。
自由度の高い働き方ができる税理士ですが、年収や将来性が約束された資格ではなく、『勝ち組』税理士になるにはセンスと努力が必要であることがわかります。
『勝ち組』税理士になるためには、キャリアプランをしっかりと作り、それに見合った職場での経験が必要です。(大谷翔平の夢ノートみたいですね)
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お読みいただきありがとうございました。
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