こんにちは!都内のフルリモートの税理士法人に勤務している税理士むたと申します。
突然ですが、皆さんは「税理士」と聞いて、どんなイメージをお持ちでしょうか?
- なんか難しそうな国家資格を持ってる、真面目で固そうな人?
- お金の計算が得意で、会社の社長さんと話してる人?
- 確定申告の時に頼りになる専門家?
おそらく、こんなイメージが多いのではないでしょうか。
一方で、こんな声をいただくこともあります。
- 税理士?エリートなんだね!
- 税理士かっこいいね!ハイスペックだね!
- 税理士ってすごいね、頭いいね!!
ただ、実際に現役税理士として働いていると「ちょっと違うな」と感じる部分もあります。
たしかに努力は必要ですが、税理士は決して「頭のいい人にしかなれない仕事」ではありませんし、仕事の現場は泥臭い部分もたくさんあります。
この記事を読んでくださっているあなたも、もしかしたら「税理士って、実際どうなの?」という疑問をお持ちなのではないでしょうか。
そんな皆さんの疑問に、現役税理士である私が、できる限り親しみやすくお答えしたいと思います。
世間が抱くキラキラしたイメージと、現場のリアルな姿。その両方を知っていただくことで、「税理士」という仕事をより深く、そして身近に感じていただけたら嬉しいです。
- 簿財法+院免の30代勤務税理士
- 新卒入社の常時残業がある税理士法人で働くも、4年目に転職を決意
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世間が抱く「税理士」のキラキライメージは本当か?


まずは、皆さんが想像してくださる「キラキラした税理士像」について、一つひとつ検証していきましょう。このイメージ、果たしてどこまでが真実なのでしょうか…?
「税理士=エリートで頭いい」は本当?~税理士試験の壁~
「税理士って、頭いいんでしょう?」
これは、高確率でいただくお言葉です。
結論から言うと、頭がいいかは置いておいて「合格した人は、コツコツ努力のできる人」だと断言できます。
ご存知の方も多いかもしれませんが、税理士になるためには、税理士試験という国家試験に合格しなければなりません。この試験が、本当に、本当に大変なんです。
税理士試験は科目合格制で、会計科目2科目と、税法科目3科目の『合計5科目』に合格すると、晴れて『合格』となります。一見、5つだけなら…と思うかもしれませんが、1科目ずつの難易度が非常に高い。
近年の合格率は、各科目でおおむね10%~20%程度。そして、5科目すべてに合格できる「官報合格者(その年に5科目揃って合格した人)」の割合は、全受験者のうち、わずか2%前後と言われています。
2%…100人受けて2人しか受からない試験です。こう聞くと、その難易度の高さが少し伝わるでしょうか。



実際には「官報(5科目合格)」以外にも、通称「院免(税法2科目を大学院の論文で代用する方法)」や税務署OBといった、税理士ルートもあるので、全員が2%の壁を越えているわけではないですが。
ちなみに、私も「院免」で税理士です。
私は、大学時代から税理士を目指していたので、『大学生活+専門学校』と勉強に専念できる環境でした。それでも友人との遊びを断り、部屋にこもって勉強し続けて、やっと合格できるレベルの試験です。大学時代の楽しい思い出はほぼないですね。(というか友人がほぼいない)
税理士試験は、社会人受験生も多いです。平日は仕事が終わってから深夜まで、土日は一日中、予備校の自習室にこもる毎日。家庭を持っている人も多く、限られた時間での中で必死に勉強している人ばかりです。
さらに、税理士試験の特徴として『税法の丸暗記』が必須となります。そのため、純粋にIQが高い(計算等の処理が早い)みたいな「頭の良さ」だけでは合格できず、すごーく地道に税法を暗記していく根性も必要です。
この税法の暗記、科目にもよりますが「法人税法」だと文庫本1冊を丸暗記するくらいのイメージです。
だから、「税理士はエリート」と言われると、そんなキラキラしたものではないなと。生まれつきの天才というよりは、「目標に向かって、泥臭く努力し続けられる人」の集まり、というのが実態に近いかもしれません。
そういう意味では、この厳しい試験を突破した税理士は、誰もが「すごい努力家」であることは間違いないでしょう。



そもそも「エリート」といわれる人生勝ち組は、税理士なんて目指さないと思いますしね。それより「人生逆転してやる!!」みたいな反骨精神の人が多いです。
「税理士=ハイスペック」は本当?~年収と専門性~
「税理士って、ハイスペックで高収入なんでしょう?」
これも、よくあるイメージの一つですね。お金を扱う仕事柄、そう思われるのかもしれません。
これに関しては、「半分本当で、半分は人による」というのが正直なところです。
独立開業で軌道に乗っていれば、1,000万~3,000万って人もざらにいます。
でも、サラリーマン税理士の年収平均って実は低いです。
所属税理士(雇われ税理士)の場合『597万円』です。
【引用】第6回税理士実態調査報告書
独立開業や税理士法人の役員(社員税理士)になった場合は、下のデータとなっています。
開業税理士の平均年収は約744万円※
社員税理士の平均年収は約886万円
【引用】第6回税理士実態調査報告書
※開業税理士の約30%は年収300万円以下、約25%は年収1,000万円超と二極化しています
どうですか?ただ税理士になって雇われているだけだと、普通のサラリーマンと対して変わらないんですよね…。
都内の税理士法人とか、ガツガツ仕事する事務所だったら、もっと高年収でしょうが。例えばBig4なら新卒で500万とかいきますからね。でも残業も大変そうです。
もし、「税理士になって稼ぎたい!!」と思われている方は、独立開業を視野に入れて動くことをおすすめします。
「税理士=かっこいい」は本当?~現実は地味~
「スーツをビシッと着こなして、専門用語で社長と渡り合う姿がかっこいい!」
テレビの影響もあってか、こんなイメージを持ってくださる方もいるようです。確かに、経営者から「先生」と呼ばれ、頼りにされる姿は、傍から見ればかっこいいのかもしれません。
お客様の会社が抱える、お金という非常にデリケートで重要な問題を、専門家として導く。そして、最後に「先生、ありがとうございます!」と感謝していただける。この瞬間は、自分でも「この仕事、かっこいいかも」と思えますもんね。
しかし。その裏側は、驚くほど地味で泥臭い作業の連続です。
- ひたすらに会計ソフトへのデータ入力
- 税務スケジュールに従って、毎年同じルーティンの仕事
- 毎年改正のある税法の永遠なる勉強
かっこいいイメージとは裏腹に、書類と数字に黙々と向き合う、非常に根気のいる仕事です。
ドラマのように、毎回劇的な事件が起こるわけではありません。(起こっても困りますが…)日々の地道な作業の積み重ねが、お客様からの信頼に繋がり、それが結果として「かっこいい」仕事に見えるのかもしれませんね。



税の専門家として、普通の人は知らないことを勉強しているだけです。
税理士のリアルな現実


ここまで読んで、「税理士って想像よりキラキラしてないんだな」と思われたのではないかなと。
もう少し踏み込んで、さらに税理士のリアルをお届けしていきます。
繁忙期は戦場
税理士と聞いて、多くの人が思い浮かべるのが「確定申告」ではないでしょうか。
個人の所得税の確定申告期限は、原則として毎年3月15日。そして、多くの企業の決算期が3月に集中しています。
そのため、12月から3月、そして3月決算申告の5月は、税理士業界にとって最大の繁忙期となります。
12月の年末調整が始まったら、もうノンストップで走り続けます。
もし、あなたにスキーやスノボのような冬限定の趣味を楽しみたいという気持ちがあるなら、通常の会計事務所は絶対に入らないでください。
入るなら、資産税やM&Aといったまとまった繁忙期の無い専門分野の税理士を目指してください。
それくらい冬の繁忙期は忙しいです。申告期限に間に合わすプレッシャーもあります。
逆に夏の閑散期はめっちゃ暇ですけどね。



冬は仕事して、夏は遊ぶ。それが一般的な税理士です。
一生勉強、税制改正とのマラソン
「試験に合格したんだから、もう勉強しなくていいんでしょう?」
これもよく言われることですが、答えは断固として「NO」です。
税理士は、一生勉強し続けなければならない職業です。
その最大の理由が、毎年の「税法改正」です。
税金に関する法律は、国の政策や経済状況に合わせて、毎年ものすごい勢いで変わっていきます。昨日まで正しかった知識が、今日にはもう通用しなくなっている、なんてことも日常茶飯事です。
- 新しい税制が導入される(例:インボイス制度)
- 既存の制度の要件が変わる
- 税率が変更される
これらの膨大な情報を常にキャッチアップし、正確に理解しておかなければ、お客様に正しいアドバイスをすることはできません。
そのため、税理士は仕事の合間を縫って、
- 分厚い専門書や実務雑誌を読む
- 税理士会などが主催する研修会に参加する
- 判例や国税庁の通達をチェックする
といった努力を日々続けています。
「頭いい」というイメージは、こうした日々の地道な学習の賜物なのです。



試験に合格してもスタート地点に立てるだけですからね。そこからが本番です。
コミュニケーション能力が一番大事
税理士は数字を扱う仕事なので、「黙々と計算だけしていればいい」と思われがちですが、これも大きな間違いです。
むしろ、税理士にとって最も重要なスキルは、コミュニケーション能力だと言っても過言ではありません。
専門用語を分かりやすく説明する力
税法や会計の専門用語は、一般の方には馴染みのないものばかりです。「減価償却」「損益通算」「繰越欠損金」…こんな言葉をそのまま使っても、お客様には伝わりません。難しい専門知識を、相手のレベルに合わせて、身近な例えなどを使って分かりやすく説明する力が求められます。
お客様の悩みを聞き出す力(傾聴力)
社長は孤独です。会社の経営や資金繰りの悩み、従業員には言えない本音など、様々な不安を抱えています。そうした話に真摯に耳を傾け、気持ちに寄り添い、信頼関係を築くことが、的確なアドバイスの第一歩となります。時には、税金とは全く関係のない「愚痴聞き役」になることも。
厳しいことを伝える力
お客様のためを思うからこそ、時には厳しいことを言わなければならない場面もあります。「このままでは資金繰りがショートしますよ」「この経費は認められません」など、言いにくいことを、相手の感情に配慮しながらも、はっきりと伝える勇気と誠実さが必要です。
結局、税理士の仕事は「人」を相手にする仕事です。 どんなにすごい知識やスキルを持っていても、お客様との信頼関係がなければ、その価値を十分に発揮することはできません。
数字に強いだけでなく、人と真摯に向き合えること。これこそが、税理士に求められる最も重要な資質なのです。
税理士の魅力


「なんだか、思ったより地味…。」そう感じた方も多いかもしれません。
ご想像の通り、税理士はキラキラしたイメージは似合わない職業だなと、個人的には考えています。
キラキラした職業ならもっとドラマの主人公とかになってもいいはずですし…。
税理士の魅力は、顧問として長くお客様に寄り添える点・働き方の自由度が高い点にあると思います。
それぞれ見ていきましょう。
顧問として長くお客様に寄り添える
税理士の仕事の最大の魅力は、なんといってもお客様のビジネスの成長を、一番近い場所で支えられることです。
私たちは、お客様の会社の数字をすべて把握しています。それはつまり、会社の良い時も悪い時も、すべてを知っているということです。
顧問として、社長と一緒になって悩み、考え、喜びを分かち合う。そして、自分の専門知識でその会社を良い方向へ導くことができた時、「ありがとう」という一言が、心に沁みるのです。
税理士は、お客様との信頼関係を大事にして、長くお付き合いできる貴重な仕事です。
しかも、自分で事業を立ち上げずとも、いろんなビジネスを見ることができるので、おもしろい職業だなと思います。
働き方の自由度と、生涯現役でいられる専門性
税理士という資格は、働き方の選択肢が非常に広いのも大きな魅力です。
独立開業: 自分の事務所を構え、一国一城の主として自由に働く。定年もなく、気力と体力が続く限り、生涯現役で働くことができます。
勤務税理士: 大手から中小まで、様々な規模の税理士法人や会計事務所で、安定した環境で専門性を磨く。
企業内税理士: 一般企業の経理・財務部で、その会社の税務戦略を専門に担当する。
コンサルティングファーム: より専門的なコンサルティング業務(事業承継、M&Aなど)に特化して活躍する。
このように、自分のライフステージや興味に合わせて、多様なキャリアパスを描くことができます。
特に、独立開業すれば、働く時間や場所、付き合うお客様もある程度自分でコントロールできます。もちろん、すべてが自己責任という厳しさはありますが、自分の裁量で仕事を進められる自由度は魅力ですよね。
また、AI(人工知能)の進化が著しい現代において、「税理士の仕事はなくなるのでは?」という声を耳にすることもあります。
確かに、単純な記帳代行やデータ入力といった作業は、今後AIに代替されていくでしょう。しかし、私はそこまで悲観していません。
なぜなら、経営者の悩みを聞き、その会社の未来を一緒に考え、最適な提案をするというコンサルティング業務は、人間にしかできない領域だからです。
むしろ、AIに任せられる作業は任せて、税理士はより付加価値の高い、クリエイティブな仕事に集中できるようになる。そう考えています。
変化の激しい時代だからこそ、税理士という揺るぎない専門性は、一生ものの武器になるのです。


まとめ:税理士のイメージと現実、そして未来
税理士のイメージと実態についてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。
「税理士=エリート、頭いい、すごい」というイメージは…
半分本当です。税理士試験を突破するすごい努力家であることは間違いありません。そして、税法改正に対応するため、一生勉強し続ける知的好奇心と向上心を持っています。(とはいえ、エリートではないです)
「税理士=ハイスペック、かっこいい」というイメージは…
これも半分本当です。高い専門性を持ち、経営のパートナーとして社長から頼りにされる姿は、確かにかっこいい仕事です。独立すれば高収入も目指せる、ハイスペックな職業と言えるでしょう。 しかし、その裏側には、繁忙期の激務や、膨大な書類と向き合う地味な作業といった泥臭い現実があります。
そして何より、税理士という仕事は、下記のような魅力ある職業です。
「お客様の成長を一番近くで支え、心からの『ありがとう』を貰える、やりがいに満ちた仕事」
「働き方の自由度が高く、一生ものの専門性を武器に、社会に貢献できる仕事」
この記事を読んで、税理士という仕事に少しでも興味を持っていただけたり、身近に感じていただけたりしたら、嬉しいです。
お読みいただきありがとうございました。
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